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2025年アウェアネストークwith モルガン・スタンレー
日付: 2025年6月20日
場所: 東京都
参加者: 卒業生2名、みらいの森スタッフ2名
パートナー: モルガン・スタンレー
先週、長年のスポンサーであるモルガン・スタンレーにて、第4回目となるアウェアネストークを開催しました。このセッションは、社員のみなさまが支援している取り組みを「数字」だけでなく「ストーリー」として理解し、つながりを深めていただく貴重な機会です。
今年のトークは特に特別なものでした。登壇者は1名ではなく、4歳と6歳のときに児童養護施設に入所した2人の大学生と、その2人が育った施設での勤務経験を含め、20年以上にわたり児童養護の現場で働いてきた元職員の方の3名でした。
3人は、それぞれの視点から、とても個人的で深い経験を語ってくれました。卒業生たちは、児童養護施設に入るに至った背景や、施設で育つ中で感じた複雑な感情、そしてみらいの森のプログラムが自立に向けた準備にどう役立ったかを率直に話してくれました。また、元職員さんは、支援する側の視点から、施設の構造や職員の役割、子どもたちをどう支え、成長を見守るかといった貴重な洞察を共有してくれました。
セッション中の質問のひとつに、「 施設で暮らしていた時に頼れた⼈はいましたか︖ 」というものがありました。
ある卒業生は、児童養護施設で子どもたちが直面しやすい課題のひとつをこう語ってくれました:
「数年ごとに職員さんが変わるので、⼀貫した関係性がなく、特にこの⼈、という ⼤⼈は特にいなませんでした。」
元職員さんの考察として下記を補足いただきました:
「基本的な児童養護施設の姿勢は、1 ⼈ 1 ⼈の⼦どもたちを尊重し、程よい距離感を保 つ。例えばあだ名では呼ばず、さんで呼びます。スキンシップも限りなく最⼩限に。 なぜかと⾔うと、施設に⼊所するまでの経緯を全ては理解できない中で、何が 昔の逆境体験を思い出すきっかけになるのかわからないので、適度・安全な距離 感で⽣活することが⼤事だからです。理想の形は、年齢に関わらず、お互いを尊重しあっている関わり合いで毎⽇の RESPECT の積み重ねで、お互いで作り上げた⼼地よい関係性が⼤事です。この考え ⽅を軸に、「この職員さんでなければダメ」とならないように意識していました。」
また別の質問では、「みらいの森で⼀番の学びはなんですか︖ 」という問いがありました。
ある卒業生は、みらいの森での経験を通して、自分自身が大きく変わったことをこう語ってくれました:
「昔から⾃分の意⾒を⼝にするのが苦⼿でした。相⼿がどう思うかを気にしすぎたり、相 ⼿に何かされたらどうしようと思って、⼝論になりそうだと⾃分から引いて、何 も⾔わないことが多かったです。⾼校 2 年⽣のサマーキャンプのころから、⾃分の意 ⾒を LIT の仲間たちに対して⾔えるようになって、⾃分⾃⾝のより良いパフォー マンスにつながったのも実感できました。また、LIT プロジェクトでリーダーとして 旅をまとめた時も、空気が悪くなってしまっても、⾃分の⾔いたいことを⾔えた ので、もめることもあったけど、⾃分としては成⻑を感じました。この⼒が、今も⼤ 学やバイト先での新しい⼈間関係作りに役⽴っています。」
それに対し、元職員さんは次のような気づきを共有してくれました:
「確かに彼は、⽣活に中でも⾼ 2 の夏辺り以降に変化を感じました。夏前は本人の周囲に起こった出来事に対する⽂句が主で、話の主⼈公が他の人でした。。夏以降は、主⼈公が 本人であることが前⾯に出てきた話の内容になり、自分ごととして捉えられるようになった変化を感じました。」
当日は、モルガン・スタンレーの社員100名以上が参加し、登壇者の話に耳を傾け、思慮深い質問を投げかけながら共感を深めてくださいました。
このような貴重な機会を設けてくださったモルガン・スタンレーのみなさま、そして率直で勇気あるお話を聞かせてくれた登壇者の皆さんに、心より感謝申し上げます。このようなトークの場を通じて、一人ひとりの心に蒔かれた「気づきの種」が、やがて大きな理解と共感へと育っていくことを願っています。