私たちのアプローチ

私たちのアプローチ

「生きる力」とは

みらいの森のプログラムは、子どもたちが挑戦を乗り越え、困難を克服し、未来に向けて自分の道を切り開くために必要な「生きる力」を身につけることを目的にデザインされています。

世界保健機関(WHO)(1997年「学校におけるライフスキル教育」)によると、「ライフスキルとは、日常生活で生じるさまざまな問題や要求に対して、建設的かつ効果的に対処するために必要な能力である。」とされています。児童養護施設で暮らす子どもたちは自立に向けて移行する際、周りからのサポートが限られていることが多いため、特にレジリエンス、問題解決能力、コミュニケーション能力が重要となります。

みらいの森では、これらの「生きる力」を早い段階から育むことによって、子どもたちが困難を乗り越えるための道具と自信を築き、明るく幸せな未来へとつながる道を切り開く手助けをしています。

2つのコンセプト

児童養護施設で暮らす子どもたちは、現在の福祉制度の制約により、多種多様な体験や実践的な学びの機会も限られており、一般家庭の子どもたちと「体験の格差」が生じていると言われています。そんな状況の中で暮らしている子どもたちは、みらいの森の非日常の環境で、新しい価値観や考え方と出会います。みらいの森プログラムでは、施設の職員さんにも子どもたちと同じようにアクティビティーに参加してもらい、普段は見られない子どもたちの一面や一人一人の可能性を実際に見てもらうことができます。そして、そこでの発見を彼らの日常の生活と成長につなげていくことができます。

体験型
みらいの森プログラムは、「生きる力」を確実に身に着け、自分の物にしてもらうため、体験を通しての学びを重視しています。子どもたちは今までやったことのないことを経験し、考えたことのないことを考え、自分自身の体験を通して物事を整理し理解することを学びます。また、実際に体験することにより、言葉や理論だけでは伝わらない感覚や考え方に触れ、一人一人に合った方法で学ぶことができます。さらに、プログラム内では失敗を学びの機会とし、子どもたちが再挑戦し、レジリエンスを身につけることができる環境を創り上げています。

継続的
毎月、そして毎年参加できるプログラムに継続的に参加することにより、子どもたちは前回のプログラムの経験をもとに学びをさらに積み重ねることができます。また、何度も参加している子どもたちは、馴染みのある環境に安心感を持ち、普段はやらないようなことや、新しいことにも挑戦していきます。さらに、参加する子どもたちの成長に合わせ、小学生から高校生まで、年齢やレベルに合ったカリキュラムをプログラムに組み込んでいます。

3つのツール

みらいの森プログラムでは、子どもたちがそれぞれの方法と自分のペースで、楽しみながら学ぶために3つのツールを主に活用しています。

アウトドア
自然という非日常で、差別や偏見のない環境は、子どもたちに自分のことは自分で責任を持つことや、自分で考えて行動する力を育みます。また、アウトドアでの活動は、予測できない天候や小さなトラブルを乗り越える中で、子どもたちにレジリエンスと自分を信じる力を教え、困難な状況でも諦めずに挑戦し続ける力を養います。

多文化・多様性
私たちは、さまざまな背景を持つスタッフ、ボランティア、支援者に恵まれています。異なる背景や文化、価値観を持つ人々と交流することで、子どもたちは新しい考え方や視点に触れ、自己表現の方法やさまざまな社会的な状況への対処方法を学ぶことができます。これらの交流は、彼らの視野を広げ、新たな可能性を発見するきっかけとなります。

ロールモデル
子どもたちは、親でも、先生でも、職員さんでもない、様々な背景を持つスタッフやボランティアと出会います。多様な形で活躍している大人たちと交流し、将来の仕事やライフスタイルの選択肢に気が付き、可能性を広げます。

5つのキャンプバリュー

みらいの森では、勇気・Courage、思いやり・Kindness、リーダーシップ・Leadership、尊重・Respect、そして責任感・Responsibilityの5つのバリューを大切にしています。プログラムで学んだことを日常の生活に持ち帰り、そこでも学びを継続するための道具の一つとして使っています。

勇気・COURAGE
人前で話す、初めてのところに一人で行くなど、恐怖を感じることは、多々あります。しかし、勇気を出して新しいことにチャレンジすることにより、苦手ことを克服し、新しい自分を見つけ、可能性を広げることができます。

思いやり・KINDNESS
相手が何を考えているか、何を求めているかを考え、相手の気持ちになることを学びます。また、自分が他の人を思いやることで、他人が自分の為にやってくれていることに気が付くことができます。

リーダーシップ・LEADERSHIP
ゴールに向けて物事を自ら進める力を学び、身に着けます。また、人や意見をまとめるために欠かせないコミュニケーション力もリーダーになることにより学ぶことができます。

尊重・RESPECT
意見が食い違っても、決してそれが間違っているわけではなく、世の中には多様な考え方があることを学びます。そして、それを踏まえた上で、どのように対応すれば良いかを学びます。

責任感・RESPONSIBILITY
自分のことは自分で責任を持ち、身の回りの物の準備や片付けだけでなく、自分の意見や行動などにも責任を持つことを学びます。また、物事を自分の責任として捉えることにより、少し先を見据えて物事を考える力を養います。

キャンプマジック

キャンプでは子どもたちが施設では見せたことのない、職員さんもびっくりするような面が見られることがあります。キッチンでお手伝いしたり、人前で大きな声で発表できたり、8㎞のハイキングを文句言わずに一人で歩けたりと、子どもによって様々ですが、普段では決してやらないようなことがキャンプではできてしまいます。みらいの森ではこれを「キャンプマジック」と呼んでいます。これは子どもたちが自ら自分の可能性を表に出してきている証拠で、プログラム内でもとても大事にしています。また、このキャンプマジックをどのように日常生活につなげるかもプログラムとして、常に工夫を重ねています。