みらいの森の子どもたち

児童養護施設とは

児童養護施設とは、親と一緒に暮らせない、または、親や家族による適切な養育が困難な1〜18歳の子どもが生活している施設です。入所理由はさまざまで、親との死別、離婚や病気、経済的な理由などが挙げられます。最近は、親族からの虐待による入所が増え、入所児童の半数以上が虐待を受けた経験があるとも報告されています。

児童養護施設で暮らす子どもたちの数

日本全国にある児童養護施設の数

被虐待体験のある子どもたちの割合

両親または一方の親がいる割合

施設での生活

施設では、より家庭的な養護に近づけるよう、小規模なグループホームでの生活が主流となりつつあり、数人の子どもたちと担当の職員さんたちが、ひとつのグループとして生活しています。子どもたちは施設から学校に通っていますが、それ以外に、余暇や趣味を楽しんだり、施設の行事や子ども会など地域の活動にも参加しています。施設の職員さんは子どもたちの日常のお世話だけでなく、学校や地域との連携、親や児童相談所、行政とのやり取りなど、多種多様な業務を日々、献身的に行っています。

子どもたちを取り巻く現状

社会からの偏見

社会では、児童養護施設に対する正しい理解がまだ普及していないのが現実です。「問題行動が多い子どもたちや、反社会的な子どもたちが多い」「親に捨てられたかわいそうな子どもたちが住んでいる」等の偏見だったり、アパートや携帯電話の契約時の困難、就職差別だったりと、さまざまです。施設で生活していることや、施設出身であることを秘密にしている子どもたちも大勢います。

心の傷

過去に負の経験をして入所してきた子どもたちには心に傷を持った子が大勢います。それにより、彼らは生活上、そして自立に向けて様々な課題に直面します。


自己肯定感の不足


大人・他人への不信感


自信・自尊心の低さ


乏しい冒険心・失敗への極度の恐れ


コミュニケーション能力の不足


決断力、レジリエンスの不足

18歳での自立

児童養護施設の子どもたちは原則18歳で、高校卒業と同時に施設を退所し、衣・食・住すべてにおいて自立を強いられます。経済的にも、心理的にも、物理的にも、全て1人で責任を持ち暮らしていくということは、施設での守られた生活とは一変します。自立後の新しい環境で、新しい人間関係をつくり、責任を持って仕事や学校などに取り組んでいく準備を、施設にいる間にすべて整えることは、簡単なことではありません。金銭管理、学校とバイトの両立、上下関係、偏見、孤独感からくるストレスなど、次々と直面する問題に対応しきれない子たちもいます。

限られた道

高校卒業後に自立して、頼れる大人もいない子供たちは、経済的な理由から就職を選ぶ子が多くいます。2018年に卒業した全国の高校生の約70%が進学しているのに対し、施設出身の子の進学率は30%ほどという調査結果が出ています。また、進学したとしても、生活費を賄うため働かなければいけなく、学校と仕事を両立しなければいけない難しさから、中退してしまう子も少なくありません。

退所していく子どもたちの自立を支援しているNPO、ブリッジフォースマイルさんのウェブサイトで、さらに詳しい児童養護施設の子どもたちの現状調査報告がご覧になれます。

身の回りの物理的な準備に加え、自分自身の心構えもできていなく、社会に十分なセーフティネットがあるとはいえない状況で、心の傷も癒えないまま「自立」していく多くの子どもたちの展望は、決して明るいとはいえません。

将来性のない職業 

犯罪・風俗業への関わり

ホームレス 自身の子どもも児童養護施設へという循環

これらが積み重なることで、子どもたちの夢や多くの若者たちの可能性が失われ、社会にとっても大きな損失となっています。