Graduate Program

2026年アウェアネストークwith モルガン・スタンレー

日付: 2026年5月19日
場所: 東京都
参加者: 卒業生1名、みらいの森スタッフ2名
ご協賛企業: モルガン・スタンレー

5月、継続的に多大なご支援をいただいているスポンサーかつパートナーでもあるモルガン・スタンレーの皆さまとご一緒に、第6回目となる「アウェアネス・トーク」を開催いたしました。長年にわたり、モルガン・スタンレーのボランティアの皆さまは、私たちが支援する子どもたちが、幼いキャンパーから高校生へ、そして自立したプログラム卒業生へと成長していく瞬間を温かく見守ってくださっています。

今年は、2名のゲストスピーカーに登壇していただき、100名のボランティアの皆さまにオンラインとオフラインの両方からご参加いただきました。1人目は、みらいの森の卒業生。かつてLITとして参加してから、今年で7年目を迎える現役卒業生として、みらいの森コミュニティに関わり続けてくれています。2人目は、20年以上にわたり児童養護に携わってきた元職員さん。ゲストの卒業生が育った施設でも長年勤務していました。それぞれ異なる立場から、児童養護施設の現状について、日々の生活、長期的な課題、自立に向けた急激な環境の変化、そしてみらいの森のコミュニティが子どもたちの歩みをどのように支えているかについて、心に響く貴重な視点を届けてくれました。

ディスカッションはまず、児童養護施設で育つということの現実に目を向けることから始まりました。

施設で暮らす子どもたちは、「チャレンジすること」「失敗することが怖い」という子も多いけれども、あなたの場合は? 

卒業生:日常生活の場で、園の中だけでいろいろ完結していた。学校や外とのつながりの必要性も感じておらず、施設外の友達と一緒に遊んだり何かをする経験値は少なかった。 施設を出て気がついたのは、施設にいる間は常に大人のサポートがあって安心だったけれど、大学生や社会人になって、1人でいろいろなことを決めていくのが怖いと感じた。

職員時代に、施設の子どもたちが勇気や自信を身につけられるように意識していたことはありますか? 

元施設職員:自分自身が物事を全て知らなくていいこと、勇気を持って社会と繋がっている姿を見せること。 

みらいの森のプログラムに参加すると、子どもたちはさまざまな大人のロールモデルに出会い、自分の殻を破ることを応援してくれる環境に身を置くことができます。今回の卒業生にとって、LITプログラムで過ごした高校時代は、自分自身を見つけていくための大切な場となりました。 

みらいの森にLITとして2017年から参加してくれているけれども、印象に残っているプログラムは何ですか? 

卒業生:LITプログラムの3年目に、リーダーとして参加することになり、自分のリーダー像を見つけるのがすごく難しかった。先輩リーダーのようなスタイルも試してみたけれどしっくり来ず、最終的には、自分は「引っ張るリーダー」ではなく、「縁の下を支えるようなリーダー」が合っていると気がつくことができた。

元施設職員の方は、彼が変化していく様子をリアルタイムで見守っていた当時をこう振り返ります。 

職員から、いろいろ自分でできる子、いい子、皆勤賞のすごい子、心配ない、変化がある状態を求めている姿は想像しない子と言われてた。[…] みらいの森への参加は、彼にとって自己を発見し、挫折に対する免疫をつけるきっかけとなりました。みらいの森から帰ってくると、自発的に振り返りtimeが毎回開催され、職員と彼の会話も増えた。おかげで表情豊かで人間味のある人へと育っていき、人生も彩りあるものになっていっているのではないかと、見ていて感じる。さらに、みらいの森のLIT時代に刺激があっていろいろ悩んだりできるのが、初めての「失敗」体験だったかもしれない。大きな失敗をせず施設を退所して、人生初の「失敗」が施設外だったら、とても大変だったのでは。

長年にわたり、モルガン・スタンレーの皆さまは、みらいの森が支援する子どもたちが新しいスキルを身につけ、さまざまな大人のロールモデルと信頼関係を築くことができる、安心できる場を提供してくださっています。

モルガン・スタンレーのボランティアさんとの交流で、印象に残ったこと、いまのあなたに影響があったことはありますか? 

卒業生:メンタリングセッションやワークショップで出会った社員さんは、みんなLITや卒業生のことを気にかけてくれているし、いろいろ相談した時に親身になってアドバイスをしてくれたので、大人に相談してもいいんだ、ためになるアドバイスをしてくれるんだ、と実感して、その後みらいの森で出会う他の大人の人にも、積極的に話しかけるようになった。 

大学卒業後、最初の就職先で社会人3年目を迎えた卒業生は、子どもたちの歩みは施設を出た時に終わるわけではない、みらいの森で培ったスキルやマインドセットを自立した社会人として生きていく今も、日々の支えになっていると話してくれました。 

社会に出て、みらいの森での学びが生きていることを実感した経験はありますか? 

何かに失敗した後の、起き上がり方が今はわかっていること。

もしみらいの森と出会っていなかったら、いまどうなっていると思いますか? 

英語への興味はここまで大きくなることがなかった。スピーキングの機会も全然なくなるので、英語力も伸びていなかったし、成功体験となって自信になっている英語でのアウトプットもないので、もっと自分に自信がないと思う。 視野がすごく広がった1ヶ月のオーストラリア留学もしていなかったし、こんなに人とのおしゃべりが好きということも気が付かなかった。

元職員の方は、モルガン・スタンレーの皆さまに、みらいの森が支える子どもたちへの向き合い方について、心に深く残るメッセージを残しました。

元職員さんが、子どもたちと関わる上で意識していることは? 

私は、ホッと安心できる空間の中で、大切にされる体験を積み重ねていくことで、子どもは回復し、成長していくと信じている。また、子どもも私も施設の中だけで生きていくのではなく、社会の中で生きていく存在であるという視点も大切にしている。そして、「子ども」というひとくくりではなく、一人の人として向き合うことを大切にしている。育ってきた環境や経験、価値観や好きなこと、感じ方は一人ひとり異なり、その違いを尊重することが関わりの土台になると考えている。 

改めて、今年もこのような場を設けてくださり、そして長年にわたり私たちのミッションに寄り添い続けてくださるモルガン・スタンレーの皆さまに、心より感謝申し上げます。皆さまの温かいご支援は、子どもたちの中に長く残る記憶と力となり、自信を持って、そして力強く社会を歩んでいける人へと成長する原動力になっています。