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みらいの森について知るシリーズ#4 みらいの森から見る子どもたちの課題

みなさまに児童養護施設とそこに暮らす子どもたち、そしてみらいの森の活動について、ブログにてシリーズをお届けしています。前回まではみらいの森がサポートしている施設や子どもたちについてでしたが、今回からはみらいの森とそのプログラムについてお伝えしていきます。第一弾は、みらいの森が数年関わってきて、より良く見えてきた子どもたちの抱える課題についてです。施設と子どもたちについてより知識を深め、みらいの森についてよりよく知っていただけるきっかけとなれば幸いです。

シリーズ#4:みらいの森から見る子どもたちの課題

            みらいの森の元となる団体が、初めて児童養護施設の子どもたちをアウトドアプログラムに招待してから、早くも10年がたちます。これまでに大勢の子どもたちと出会い、ともにアウトドア体験を楽しんできました。同時に未だに日々の生活に支障をきたしている彼らの過去や彼らを取り巻く現状、そして、成長するにつれてのしかかってくる新たな課題も多く眼の当たりにしてきました。施設に入所する子どもたちにとって、そこで保護されればすべてが解決するわけではありません。全く新しい生活環境や学校、一緒に住む大人や子どもたちに慣れ、過去の経験を乗り越えていくだけでもかなりのエネルギーと時間を要します。また、物事や社会に対しての理解度や精神的な成長過程において、とても大事な時期に学びの機会を失ってしまった子どもたちは、同学年の子どもたちと比べてもすでに遅れてのスタートとなり、この時間を取り戻して追い付くことは容易ではありません。

            子どもたちが直面する最も大きな課題は、やはり18歳で迎える退所と自立でしょう。自立後の生活は施設での生活と一変し、身の周りの全てを自分で管理しなければいけなくなります。それまでの自分の生活のほとんどのことが他人によって決められてきた子たちにとって、仕事や大学等で必要となる心構えや責任感、毎日を過ごすために費やさなければいけない時間や労力は、今までの経験と全く違うものになります。また、公共料金の払い方や宅急便の送り方など、側から見ると些細なことでも彼らにとっては新しく、さらなるエネルギーと時間を費やして学んでいかなければいけない事なのです。もともと不利な状況に置かれ、限られた時間と環境の中で社会を生き抜くために必要な技術や知識を得ることは難しく、似たような経験もしてきていないため、どのような問題と解決策があるかを想像することすら困難な場合もあります。全く新しい日々の生活を回しながら、このような問題を解決していくには、多大な労力と精神力が求められます。近年になって児童養護施設も退所後のサポートを強化してきていますが、まだ職員さんと児童個人の繋がりに頼っている面も多く、元から良い関係でないと相談しに戻りにくく、全ての退所者にとって頼れる場所として確立するにはまだ時間が必要なように見えます。

            施設を退所していく子どもたちは、自立後に直面する様々な問題を自らの力で認識し、解決していかなければなりません。みらいの森ではこれを「生きる力」と呼んでいますが、彼らはこの力を18歳になるまでに身に着けなければいけないのです。そのためには、一般家庭の子たち以上に多様な学びの機会が必要です。施設という守られた環境にいる間に様々な経験を通して失敗や成功を繰り替えし、少しずつ自分を確立させ、問題が起きても、ぶれずに対応できる軸を築き上げることのできる機会が、彼らの「生きる力」を育むためにとても大切になってきます。みらいの森では今までに多くの子どもたちとプログラムを行ってきました。極端にシャイな子、集中力が続かない子、コミュニケーションがとれない子、自分では何も決められない子など、様々な課題を持った子たちがプログラムに参加してくれましたが、ほとんどの子たちはみらいの森という環境で少しずつ自分の殻を破り、今まで知らなかった自分の一面を発見し、新しいことに興味を持ち、心を開いてきてくれました。この子たちのように、自らの体験を通して自分と周囲に気付き、自分の力を伸ばしていける環境があれば、今後必ず直面する様々な問題に対応できる「生きる力」を身に着けることができ、自分の将来の理想に近づいていくことができるはずです。

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#1 児童養護施設について

#2 児童養護施設に暮らす子どもたちについて

#3 施設で働く職員さん

#5 みらいの森プログラム-基礎概念

#6 みらいの森プログラムツール