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みらいの森について知るシリーズ#5 みらいの森プログラム-基礎概念
みなさまに児童養護施設とそこに暮らす子どもたち、そしてみらいの森の活動について、シリーズをお届けしています。今回はみらいの森のプログラムについてです。プログラムを企画するにあたって大事にしていること、児童養護施設と職員さんたち、そして子どもたちにとってどのような存在で在りたいのかをお伝えしていきます。施設と子どもたちについてより知識を深め、みらいの森についてよりよく知っていただけるきっかけとなれば幸いです。
シリーズ#5:みらいの森プログラム-基礎概念
児童養護施設で暮らす子どもたちは、自立後の自分の生活を保つため、全ての物事に対処できる「生きる力」を身に着けなければいけません。さらに若干18歳で自立を強いられる子どもたちは、限られた時間の中でこの生きる力を身に着けなければいけないため、一般家庭の子どもたち以上に多くの学びの機会を必要としています。みらいの森ではこのような学びの機会をより多くの子どもたちに提供するため、子どもたちにとって楽しく、そして施設と職員さんたちに負担をかけないようなプログラムを常に目指しています。
みらいの森プログラムを作るうえで最も大切な概念は、プログラムが「体験型」で「継続的」であることです。実際に体験することで、子どもたちは自分のいる環境に注意を払い、五感を使って情報を得ることを学びます。また、多くの参加者や大人たちとコミュニケーションを取り、自分の感情に気付き、それに対処していくことにより、子どもたちは言葉だけでは学べない物を身に着けていきます。また、似たような体験を何度も繰り返すことで、そこでの学びを確立させ、さらに新しい学びへとつなげていきます。同じアクティビティーでも、年齢によって得られる物が違ったり、そこにいるメンバーによって違ったりもします。「前回できなかったが今回はできた」ことや、「去年できなかったが今年はできるようになった」ことを実感できるのは、継続してプログラムに参加しているからこそ可能な体験です。
プログラムでは成功体験はもちろんですが、それ以上に失敗体験も大事にしています。「失敗」することにより子どもたちは物事への理解を深め、一つの成功よりも多くの事を学ぶことができます。子どもたちの日常生活を支える職員さんから、「子どもに失敗させたくないあまりに、大人が先回りして物事を進めてしまうため、失敗を経験することが少なくなってしまう」ということも耳にします。しかし、それは退所後の現実では通用しない成功体験になってしまうだけでなく、子どもたちが失敗を乗り越え、自らの力で成功へたどり着く力をつける機会を奪ってしまっていることにもなりかねません。失敗から学んでもらうために大事なことは、失敗しても許される、そしてやり直せる環境が整っていることです。このような環境と多様な経験を通して子どもたちは自分の行動とその結果に向き合い、新しい物事のとらえ方を学び、自分に合った考え方を確立させ、真の自信をつけていくことができるのです。
みらいの森の一つの強みは、児童養護施設の子どもたちだけを対象にプログラムを企画し運営する、施設や行政に属さない団体だということです。専門的にプログラムを企画しているため、常に目的に沿ったカリキュラムを作り出し、改善していくことに集中できます。また、活動中の安全対策なども専門的知識と経験から、最善なものを提供できます。子どもたちの生活の世話だけでも忙しい職員さんたちにとって、例え体験学習の有効さを理解していたとしても、施設のみでプログラムを企画し運営していくことは簡単ではありません。さらに、みらいの森の活動は全てサポーターの皆様からの寄付で賄っているため、施設への金銭的な負担は最小限で抑えられ、施設として別の予算を組んだり、新たな寄付を募る必要もありません。より多くの子どもたちに多様な体験学習の場を提供するため、職員さんたちが子どもたちを安心して任せられ、施設としても気軽に参加させてあげられるような体制を整えることが、みらいの森が掲げている目標の一つです。このユニークなみらいの森プログラムは、賛同してくれている施設と職員さんたち、そしてサポーターの皆様のご支援で成り立っています。
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