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みらいの森について知るシリーズ#7 プログラムの目的

みなさまに児童養護施設とそこに暮らす子どもたち、そしてみらいの森の活動について、シリーズをお届けしています。今回はみらいの森がすべてのプログラムにおいて大事にしている事や考え方についてお伝えします。施設と子どもたちについてより知識を深め、みらいの森についてよりよく知っていただけるきっかけとなれば幸いです。

シリーズ#7:プログラムの目的

            みらいの森は今まで様々な場所で多種多様なプログラムを企画し実行してきましたが、その中でとても大事にしていることがあります。それはプログラムの目的を失わないことです。例えば、山でハイキングプログラムを行うとき、このアクティビティーのゴールは山の頂上へたどり着くことかもしれませんが、プログラムの目的は違います。プログラムの目的は、子どもたちが、自分の水筒やお弁当を自分で運ぶ責任感、自分の思い通りにならない自然の中での自分との向き合い方、自分の力でゴールまでたどり着いたときの達成感など、普段の生活では得られない経験をしてもらうことが目的です。または、チームでゲームを行うアクティビティーでは、ゲームに勝つことや勝つ方法を学ぶことが目的ではありません。自分の考えをまとめてチームメンバーに伝えるコミュニケーション力、作戦を考え実行する行動力とリーダーシップ、チームとしてチャレンジに成功した時の満足感などを経験してもらうことが目的です。みらいの森ではこのような生涯の学びにつながるような経験を「Key Experiences」と呼んでいて、子どもたちがこの様な経験を得ることをプログラムの成功として位置付けています。

            「Key Experiences」はアクティビティー中だけに起こることではありません。プログラム地への移動中や食事の時などもこのような経験をしてもらうチャンスが多くあります。プログラムではよく子どもたちに食事の準備などのお手伝いをしてもらいますが、例えばみんなの分のお弁当を運ぶというタスクだけでもチームワーク、責任感、達成感、または上手くいかなかったことなど様々な体験をしてもらうことができます。これを簡単だから、効率が良いからといって大人たちが運んでしまうと、せっかくの子どもたちの学びの機会を奪ってしまうことになります。やらなければいけない事があると、ついそのタスクを終わらせることに気を取られてしまい、真の目的を見失ってしまいがちですが、「Key Experiences」という道具を使うことで、真の目的を常に念頭に置いて活動することができます。また、「Key Experiences」を基盤としてアクティビティーを計画するため、場所やアクティビティーに関係なく、安定したプログラム内容を提供することができます。

            「Key Experiences」を子どもたちに得てもらうために欠かせないのが、プログラムのスタッフたちです。彼らは子どもたちの安全を確保しながら、目的に沿ってアクティビティーを進め、キャンパーたちが楽しみながら学べる環境を整える第一人者です。多くのスタッフはボランティアとしてみらいの森プログラムに参加してくれ、多様な文化、背景、ライフスタイルを持ち、子どもたちのロールモデルとしても活躍してくれます。また、数年に渡りプログラムに参加してくれているスタッフは、子どもたちと長期に渡る関係を保っている大人の一人として、とても大切な存在になっており、彼らとの再会を楽しみにプログラムに戻ってきてくれる子たちも大勢います。また、長年の経験から新しいプログラムやアクティビティーを提案してくれたり、プログラム外での手伝いをしてくれたりと、子どもたちの成長を一緒に見守る大切な存在だけでなく、様々な形でみらいの森をサポートしてくれています。

このようにみらいの森はスポンサー企業と個人寄付者の方々はもちろん、プログラムやオフィスで働いてくれるボランティアやインターン、プログラムパートナーの皆さん、施設の職員さんなど、本当に多くの方々からご支援いただき活動を行うことができています。

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#1 児童養護施設について

#2 児童養護施設に暮らす子どもたちについて

#3 施設で働く職員さん

#4 みらいの森から見る子どもたちの課題

#5 みらいの森プログラム基礎概念

#6 みらいの森プログラムツール

#8 成果、課題、そしてこれから