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私が支援する理由 vol.6 伊丹大輔さん

シリーズ第7回:児童養護施設職員 伊丹大輔さんのストーリー

10周年を迎えたみらいの森では、多方面から継続的にご支援いただいているみなさまにインタビューをさせていただき、みなさまの「想い」をお届けしています。みらいの森と共に歩んできた大切なパートナーさんとして、みらいの森との出会いや、みらいの森のアウトドアプログラムの魅力など、これまでの軌跡を振り返りました。

今回インタビューにご協力頂いたのは、児童養護施設星美ホームで自立支援担当職員として勤務している、伊丹大輔さんです。

伊丹さんは、子ども達へ進学に伴う奨学金給付金の情報提供や申請補助、就労や自立の支援の他、退所後のアフターケアも担当なさっています。また、外部の支援団体と施設を繋ぐ役割も任っており、みらいの森もその一つです。ホームにお邪魔した際、ちょうど高校生の卒業祝い兼、18歳の成人を祝う会として、外で開放的な雰囲気の中、子ども達が楽しそうにワイワイと、賑やかなバーベキューパーティーが行われており、和やかで温かいホームの空気が伝わってきました。

児童養護施設では、児童福祉法により原則18歳までしか暮らせないと決まっているのですが、今年度のホームの18歳の子ども達は措置延長が認められ、ホームを出ずに進学や就労ができる事となったと安心したお顔で伊丹さんが教えてくださいました。

そんな子ども達が参加する、みらいの森のアウトドアプログラムの魅力について、伊丹さんに想いを語っていただきました。


児童養護施設で働くことになったきっかけについて教えてください。

新卒で民間会社に就職し、3年位働いたのち、元々教育学部で教員免許を持っていた事もあり、子どもと関わる仕事をしたいと思い、新しい職場を探し始めました。それまで児童養護施設の事はあまり知りませんでしたが、ホームに見学に来たらすごく面白くて、働きたいと思い、働く事になりました。

児童養護施設では、子どもたちと生活を共にし、2歳から18歳まで長く彼らを支える事ができ、その後も関わりは続いていく事に魅力を感じました。働き出して苦労した事は、良かれと思って支援しても本人にとってはそうではないかもしれない、と感じる事です。表面的にはみんな明るいですが内面では傷を抱えており、寄り添い、一緒にいて共有する事が大切だと思っています。

アウトドアの魅力について教えてください。

ホームでは、他の施設がやっていないような取り組みとして、自然を使ってチャレンジさせる野外活動をしており、そこからアウトドアの教育的な意味を感じるようになりました。

アウトドアの良い所は、例えばロッククライミングという逃げ場がない中でチャレンジングな事をする時、自分が頑張れるのか、諦めるのかを、必ず子どもに選択してもらうようにしていて、その中で、「頑張れた自分」や「諦めた自分」を知る事ができる事です。自然の前では、全ての人に平等である事がアウトドアの良い所だと思います。

どのようにみらいの森と出会ったのですか?

児童養護施設に暮らす子どもたちを対象に野外活動プログラムを提供しているNPOがあると、他の施設から聞いたことがきっかけで、直接コンタクトをとりました。ホームでもアウトドアプログラムを提供していますが、夏のみ実施のため、通年で開催してくれている、みらいの森のプログラムに魅力を感じました。

定期的に参加させていただくようになってからは、一緒に生活する年齢の近い縦割りのグループが16ユニットに案内を出し、活動に参加したいユニットが手を上げ参加するシステムをとっています。中でも小学生高学年の女子クラスに大人気で、同じスタッフにまた会いたい、面白かったからまた行きたい!という声が多いです。

ホームでのアウトドア活動は、自然に立ち向かうようなハードな活動が多いですが、みらいの森は自然の中でとにかく「楽しませて」くれます。ホームとは別の目線で、自然を体験できています。またホームでは、危ないと止めてしまうような行為も、みらいの森ではアウトドアのプロ達が見守りながら、子ども達に自由にチャレンジさせてくれて、とても楽しそうにしています。

みらいの森がアウトドアプログラムを通じて提供したいと考えている「生きる力」がついていると感じる場面はありますか?

小~中学生とみらいの森のプログラムに体験する側として参加していた子が成長して、高校生用のリーダー実習プログラム参加者として参加し、プログラムを提供する立場になっていく時です。みらいの森でも力を入れているこのリーダー実習プログラムには、ホームでも積極的に参加してほしいと思っています。子どもの中で小さな達成感の積み重ねがあり、段階を踏んで成長していると感じます。

また、みらいの森では、活動後に自分で考えさせる振り返りの時間があり、言語化する事で子ども達の気づきに繋がっていると思います。消極的だった子が自分を表現できるようになったり、甘えん坊だった女の子が、人前でしっかりと発表できるようになったりと、成長する姿を見る事が出来ています。

伊丹さんが思う、子ども達に身につけてほしい生きる力は何ですか?

「主体的依存」と私が呼んでいる、困ったら相談できる力です。ホームにいる間に、信頼できる大人とのつながりを作っていき、自立後に困った時に頼れる力を身に着けてほしいと思っています。退所後の子どもはいつも「いつでも頼ってよい」と送り出していますが、施設に迷惑をかけるのではないかと思い、連絡できない子が多く、頼れずにいたり、自立後にサポートしてくれる支援団体もいくつかありますが、その支援を自ら利用する事ができない子どもが多いと感じています。

みらいの森へのメッセージ

今年で私たちのホームとは5年間繋がりが続いており、今後も繋がっていきたいと思っています。みらいの森には、ありがとうという感謝の気持ちに尽きます。児童養護施設を対象にしてくれている事に、とてもありがたいと感じていますが、今後母子家庭や貧困家庭の子ども達にも支援を広げることができたらとも思います。これからも子ども達のために、一緒に頑張りましょう!


長い間活動に賛同してくださっている伊丹さんから、素敵なメッセージの数々を頂きました。今後も現場で活動されている職員さんとの対話を大切にし、子どもたちのニーズに沿ったプログラムを作ってまいります。

みらいの森では、子どもたちが継続してプログラムに参加することに大きな意義があると信じています。子どもたちが安心して学び、成長できる場を提供し続けるためには、皆さまからの継続したご支援が必要です。

子どもたちの成長を一緒に見守り、生きる力を身に着ける機会を子どもたちに提供し続けられるよう、マンスリーサポーターとしてみらいの森コミュニティーに加わっていただけないでしょうか?

今後も、1人でも多くの子どもたちの幸せで実りある成長と自立を支援していけるよう、皆さまのご支援をお願いいたします。

シリーズ第1回:Knights in White Lycraの共同創設者、ロブ・ウィリアムズさん

シリーズ第2回:みらいの森プログラム卒業生、れいなさん

シリーズ第3回:みらいの森共同設立者・イングリッシュアドベンチャー代表、デイブ・パドックさん

シリーズ第4回:英会話ハイキングガイド、鈴木亜希子さん

シリーズ第5回:みたけレースラフティング、柴田大吾さん

シリーズ第6回:みらいの森プログラム卒業生、かっぴー